その22:学校英語は使えるのか?
執筆者:関根幸雄(広島修道大学教授)
学校英語への批判を耳にすることがありますが、やはり、土台として大切だと考えます。その批判には、英語が話せるようにならないという声があり、英会話の必要性は否定しませんが、貿易では「読み・書き」ができて一人前です。
貿易実務検定では、商業英単語、英文解釈および英作文が出題されており、貿易実務のエキスパートになるために求められているからにほかなりません。
1.英語力の国際比較
いろいろな国際比較がありますが、日本のランキングは下から数えたほうが早いといわれております。そうした中で、スイスの民間教育機関であるEF (Education First)の2015年データでは、日本は70か国中30位とあり、英語教育に熱心な韓国の27位を考えますと、日本は健闘しているといえます。これは成人の英語力の国際比較で、大学生というよりは社会人が対象となり、ビジネスパーソンの英語力を示しています。社会に出て必要性が生じた結果と捉えますと、学校で学んだ英語が土台としてあるからではないでしょうか。
学校英語は基礎であり、ビジネスに使用するには応用が必要なのじゃよ。
2.土台の微調整
学校英語は日常コミュニケーションであるのに対して、貿易での英語はビジネスコミュニケーションとなります。つまり、日常仕様からビジネス仕様にするため、学校で学んだ土台の微調整が必要となります。
例えば、
- 注文したいときは、
- I want to order this product. →
We would like to place an order for this product.
- 注文を受諾できないときは、
- I can’t accept your order. →
We are unable to accept your order.
- 先方が承知している可能性があるときは、
- As you know →
As you may know, As you may be aware
こうした感覚を身につけるためには、日頃から観察眼を養うことが肝要です。役立つような文例に接したとき、意味をとるだけではなく、全体の内容構成や構文、細部の用法、用語、前置詞の使い方などに着目してよく観察することです。ある大手商社の極意に、受信には細心の注意を払うとあったのを思い出します。