その12:英文法の知識(1)
執筆者:関根幸雄(広島修道大学教授)
それでは全5回に渡って英文法の知識についてお話していくとしようかの。
貿易で用いられる英語で、必要となる英文法の知識について取り上げてみましょう。
1.過去形と現在完了形
✖ We have shipped your order on March 15.
過去の時点が特定されている場合、過去形しか使えませんので、
- We shipped your order on March 15.
となります。
ただし、todayの場合は、Today, we have shipped your order.と表現でき、ビジネスでは「本日船積を完了しました」という意味合いで使われています。
では、次の英文の空所はどうなるでしょうか。
- We found that three cases of your shipment ( ) damaged.
- 貴社船積品のうち3ケースが損傷していることが判明しました。
学校英語ですと、時制の一致のルールから、正解はwereとなりますが、実際の用例ではareも使われております。これは、現在の状況を表現したいので、areとなるようです。この英文を次のように改めることをおすすめします。
- We have found that three cases of your shipment are damaged.
つまり、現在完了形を使うことにより、現在の状況を表現することができ、また時制に悩むこともなくなります。
英文をよく観察すると、貿易実務英語をはじめビジネスコミュニケーション全般では、現在完了形が多く見受けられます。
- Please inform us as soon as you have made shipment.
- 船積次第、お知らせください。
学校英語では、副詞節のなかは現在形と習いますので、
- Please inform us as soon as you make shipment.
となり、これでもよいのですが、船積が完了次第という意味合いから、現在完了形が使われます。この現在完了形ですが、「現時点で完了していない」ため、学校で習う英文法では説明がつかないかもしれません。