その8:日本語の訳し方(1)
執筆者:関根幸雄(広島修道大学教授)
貿易で使う英語を日本語に訳すとき、くれぐれも注意するのじゃ。おかしな訳し方にならんようにするのじゃよ!
1.as soon as
- As soon as we receive your L/C, we will make shipment of your order.
この英文を皆さんはどう日本語に訳すでしょうか。
- 当社は貴社の信用状を受け取るとすぐに、貴社注文品を船積します。
と訳しても問題はないのですが、従来の貿易実務英語では
- 当社は貴社の信用状を受け取り次第、貴社注文品を船積します。
と訳しています。
会社で使う日本語も視野に入れて考えると、こういう訳し方をしたほうがよいでしょう。
2.arrange
- We will arrange with our bank to open an L/C.
問題はこのarrangeをどう訳すかです。英和辞書を見ますと、
- きちんと並べる・整える
- 準備(用意・手配)する
- 調停する
- 編曲する
という意味が載っております。
貿易実務英語では、「手配する」と訳すことが多く、この英文も「当社は信用状を開設するために当社取引銀行に手配いたします。」となります。
3.here
学校英語では、hereを「ここに、ここで」と訳しますが、貿易実務英語では「当地の」と訳し、「当地のマーケットは急速に成長しつつあります。」となります。別の言い方をしますと、貿易実務英語を学んだかどうか試す英文かもしれません。
4.reasonable
- If the price is reasonable, we will place a large order with you.
- もし値段がお手頃であれば、当社は貴社に大量注文いたします。
reasonableとは安価なことを婉曲的にいう言葉で、同様にaffordableも用いられます。安いという意味のcheapですが、この英文ではpriceが主語となっており、cheapとは「値段が安い」ことなので、priceとcheapが意味的に重複してしまい、使うのは正しくありません。
また、cheapには「安物の、安っぽい」という意味合いがありますので、要注意です。