貿易実務のエキスパートを目指して
- Hさん(男性)
- メーカー勤務
私は現在の会社で、家電の生産に必要な部材の調達業務に携わってきました。入社してから暫くは国内の取引がメインで、貿易とはほぼ縁がありませんでしたが、途中、香港の国際購買拠点に転勤になったことを機に、貿易の世界に足を踏み入れました。
右も左もわからない中、現地の人達にも教わりながら、実務を通じて貿易知識を身につけるよう努めましたが、一方で、それだけでは十分ではないと感じていました。貿易は関わる業種、業界も多く、カバー範囲も広いのに対して、自分や自分の職場が日々の業務で対応している部分というのはその一部でしかないからです。
貿易実務を自身の専門性の一つとして高めていきたい。その為には、包括的な基礎知識を身につけることが不可欠だと思い、様々な書籍を購入し、勉強をするように心がけました。そのうちの一つが貿易実務ハンドブックで、貿易実務検定の存在を知り、受けてみようと思うきっかけになりました。
とはいえ、香港駐在中は、試験を受けに帰国するというのは難しく、なかなか受けられずにおりました。ですので、準備はしておき、帰任した時には一気にA級を受けよう、と決めていました。また、同じ貿易の試験であるAIBA認定貿易アドバイザー試験についても受けることにしましたが、同時に別の資格もチャレンジしたことでモチベーションアップにつながりました。
勉強の仕方ですが、貿易実務については、貿易実務ハンドブックのベーシック版とアドバンスド版、貿易実務アドバンスト演習テキストを中心に繰り返し読み返しました。それから、ジェトロの実践貿易実務やその他の専門書籍も併せて参考としました。これらの書籍は内容を凝縮して書いてありますので、貿易の勉強を始めたばかりであれば、一度読んだだけでは細部まで把握、理解できないかもしれません。最初は全体像の把握と用語の理解を中心に読み、それらがある程度身に付いた後、一文一文の内容、つながりに気を付けて読み返すことをお勧めします。意識するポイントを変えて繰り返し読むことで新たな気づきもあり、理解がぐんと深まるのではないかと思います。
貿易マーケティングについては、これも貿易実務ハンドブック中心の学習でした。試験合格はできたものの、もう少し対策しておけばよかった部分で、できればマーケティング・ビジネス実務検定のテキストを購入し学習すると良いのではないかと思います。
英語については、特に対策はしなかったのですが、大事なのは基礎の英語力、単語力だと感じました。基礎力をしっかり身につけておき、貿易の知識と組み合わせることで、おおよそは対応可能と思いますが、英作文については、別途慣れておいた方が良いと思います。英文、和文の比較がしやすいビジネス英語やビジネス英文Eメールの書籍を参考に適切な英語表現のレパートリーを増やしておくと役に立つのではないでしょうか。また、契約英語も、対策しようと思えば別途学習必要です。書籍はいろいろありますが、もし業務の中で英文契約書を扱うのであれば、値段は高いですが、英文ビジネス契約書大辞典は、辞典としても参考書としても持っておいて損はないと思います。
A級、貿易アドバイザー試験ともに、貿易の試験としては初めての受験でしたので、問題集はきちんと解き、本番の練習はしておくようにしました。貿易アドバイザー試験の方が問題集がない為、貿易実務検定の対策問題集は、両方の学習で大いに役立ちました。
結果として、A級、貿易アドバイザー試験、両方合格することができましたが、資格取得したから、貿易のエキスパートとなったわけでは勿論ありません。しかし、エキスパートを目指し学習を続けていく上で、これらの試験に合格したことは一つの自信と、節目になったことは確かです。皆さんも是非挑戦してみてください。
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